肺腫瘍(Lung Tumors)

肺腫瘍について

肺腫瘍とは、肺や気管支から発生する「原発性(げんぱつせい)肺腫瘍」と、他の臓器のがんが肺に流れ着いて増殖する「転移性肺腫瘍」の2種類に大きく分類されます。

これらの中でも悪性腫瘍(いわゆる肺がん)や転移性肺腫瘍は、正常な組織に比べて増殖するスピードが速いという特徴があります。周囲の組織を壊しながら拡大し、さらには血液やリンパの流れに乗って、肺以外の場所へ転移することもあります。

原発性肺がん
大腸癌からの転移性肺がん

肺がんの検査

肺がんの疑いがある場合、まずはCT検査で病変の形や大きさを確認します。がんの可能性が高いと判断された際には、確定診断のために以下の検査が行われるのが一般的です。

  • 血液検査(腫瘍マーカー等)
  • 細胞診・組織診: 痰(たん)の検査や、気管支鏡(カメラ)を用いた検査など。

しかし、がんが非常に小さい場合や、がんができた場所によっては、十分な細胞を採取できないことがあります。その場合には、CTで正確に位置を確認しながら、細い針を用いて直接細胞を採取する「CTガイド下肺生検」を行い、より精度の高い診断につなげます。診断でお困りの際にはお気軽にご連絡ください。


【 肺がんに対するラジオ波焼灼術(RFA)のご案内 】

肺がんのラジオ波焼灼術(RFA)は、現在国内では非常に限られた施設でしか実施されていませんが、当クリニックでは、豊富なエビデンスに基づき、6画面でのCT透視下でのラジオ波治療を積極的に行っています。

局所麻酔下でリアルタイムの映像を確認しながら、細い電極針を正確に穿刺(せんし)するため、呼吸による患部の動きに左右されず、精密な治療が可能です。

原発性肺がんのみならず、他臓器からの転移性肺がんも広く対象としています。経験豊富な専門医が、患者様お一人おひとりに合わせた丁寧なカウンセリングと高度な治療を提供いたします。

特に大腸がんや直腸がんからの肺転移では、放射線治療に対する反応が限られる場合もあり、治療後に再発がみられることがあります。そのため、症例によってはラジオ波治療を選択することで、より良好な局所制御が期待されるとされています。

また、肺のRFAは、呼吸機能への影響が比較的少なく、多発病変に対しても、繰り返し治療を行うことが可能です。さらに、治療に伴う変化は局所に限局することが多く、全身への影響も比較的少ないとされています。このように、ラジオ波治療は症例に応じて選択される有効な治療法の一つで、他の治療法との併用も可能です。


肺転移に対するラジオ波治療の経過

肺転移 治療前
肺転移 治療直後
肺転移 治療2年後(治癒)

大きな原発性肺癌に対するRFA治療の経過

大きな肺がん 治療前
大きな肺がん ラジオ波治療中
大きな肺がん 治療3年後(完全治癒)

肺癌や多発肺転移に対するラジオ波治療において、保本先生は国内外でも有数の症例実績があります

(参考文献)
Taku Yasumoto., et al. Innovative techniques for image-guided percutaneous puncture: Navigating complex cases for successful outcomes Interventional Radiology, 9(3): 99-111, 2024.


治療の適応について

当院での独自判断

当院では、腫瘍の大きさ(3cmを超える)や数(3個を超える)だけで一律に治療不可と判断することはありません。転移の数が多い場合や大きな腫瘍でも、その治療がどの程度有効か、またリスクとのバランスを考慮して適応を判断します。(なお、一般的には以下の条件が標準的な適応とされています)

  • 原発性肺がん: 他臓器への転移がない、3cm以下の単発病変
  • 転移性肺がん: 2.5cm以下・3個以内の肺病変

多発肺転移に対する例

直腸がん術後2年(右肺に2か所、左肺に1か所の転移)

※ 術後1年で肝転移に対して手術、4th LINEの抗がん剤治療後

→3か所とも治癒しています。


治療効果の実績

当クリニックの担当医がこれまで手掛けた治療データ(臨床成績)をご紹介します。

1. 原発性肺がん(2002年から2026年までの累計1,000症例までのデータ)

評価項目1年2年3年
局所制御率89%84%83%
生存率92%83%75%

2. 転移性肺がん(2006年から2026年までの累計2,000症例までのデータ)

※以下は最も症例数が多い「大腸がん肺転移」のこれまでの成績です。

評価項目1年2年3年
局所制御率88%82%79%
生存率95%64%59%

幅広い適応

大腸がんのほか、乳がん、胃がん、肉腫、肝がん、前立腺がん、腎がん、膀胱がん、子宮がんなど、全身のあらゆる臓器からの肺転移に対応しています。

研究への取り組み

転移性肺がんに対するラジオ波治療は、長期的な効果について現在も検証が進められている段階にあります。当院では、他の治療の適応や効果も考慮しながら、症例ごとに適切な治療方針を検討しています。また、大学病院などの公的機関や、近隣の総合病院である明和病院と密に連携し、多施設共同研究を通じて最新の知見を取り入れています。


合併症について

治療の安全確保には細心の注意を払っておりますが、主な合併症として以下のリスクが挙げられます。

気胸(ききょう)

肺を包んでいる膜(胸膜)から空気が漏れ、肺がしぼむ状態で、全体の約20〜30%に発生します。肺気腫や慢性閉塞性肺疾患などがある場合には、やや高頻度に生じるとされています。

対応

多くは自然に改善しますが、程度の強い約10%のケースでは、胸部に細いチューブを挿入して空気を抜く処置(胸腔ドレナージ)を行います。


入院管理について

肺がんのラジオ波焼灼療法は、原則日帰りでも治療を行っていますが、術後の状態やご希望に応じて、関連病院での入院体制を整えております。

特に明和病院とは密に連携をとっており、治療後の入院管理も行っています。

病室1
病室2
病室3